オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
私の全身が彼のブルガリの香りに包まれていく。
「華お前は俺に嘘ついたな…『星凛堂』だって…」


私は一言も『星凛堂』に勤めているとは言ってない。
「嘘は泥棒のはじまりだぞ…華」

相変わらずくぐもった声で責める彼。

俯き加減の私の顔に彼の手が伸び、顎を指で摘まんで、強引に上向かせた。

心臓が痛い。

私のカラダがこの状況に強張っていく。

「その眼鏡の変装は…過去の恋のトラウマだと訊いた…」

「あ…」

栗原さんは此処に来る前に色々と彼に暴露したよう。

「でも・・・ずっとお前を捜してた…染中さん」

彼は私に眼鏡を返す。

あんなに至近距離にあった顔が急に遠ざかってしまった。

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