オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
美苑の偵察は栗原に任せて、俺は耶刃ではなく、叔父の相馬祐輔(ソウマユウスケ)常務に誘われ、二人で銀座の老舗料亭で夕食を共にした。


「祐輔叔父さんと二人で食事は初めてですね」

いつもは親父と耶刃も加わり、四人での食事が多い。

俺と二人って、会長と耶刃には訊かれたくない秘密裡の話でもしたいのだろうか?

「社長の仕事はどうだ?祐早斗君」

「あ…とても大変です。しかし、有能な秘書の栗原のおかげで助けられ、何とかこなしています」

「そうか…」

二人の秋の懐石セットを口に運びながらお酒を酌み交わした。

「それよりも・・・今度第二秘書に就く…元は経理課の染中さんのコトだけど…」

「あ…彼女が何か?」

「染中という苗字が引っ掛かってな…」

俺は杯の酒を飲みながら訊いていた。

「『染中薬品』の染中社長と所縁があるのか?」

祐輔叔父さんが訊きたいコトは美苑の素性だった。

―――何だろう。この胸騒ぎは。

「…唯の偶然ですよ…」

「偶然か…そうか…」


祐輔叔父さんは安堵した表情を浮かべて杯の酒を煽った。





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