オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
こんな時、栗原さんが居てくれたら…

でも、此処に彼は居ない。

海をバックに祐早斗さんの社長就任のバーベキューパーティーが始まる。
彼は皆の気遣いに感謝するように満面の笑みで応えた。

バーベキューを仕切るのは耶刃常務。

その傍らでフォローするのは小畑先輩。

私は友人たちも盛り上がる祐早斗さんを遠目で見つめ、一人で缶ビールを飲み干し、今はリンゴのチューハイを飲んでいた。

「楽しんでる?華さん」

「濱部社長」

一人で寂し気に飲んでいた私にトーマさんが寄り添ってくれた。

「相馬もシンガポール帰りで友人たちと会うのは久しぶりのようだ。仕方がない」
「はい」

「実は今朝…母に祐早斗さんとの交際がバレてしまって…別れろの一点張りで…その上…私には許婚居ると言い出して」
「許婚??それは俺も初耳だな…」

トーマさんも私の許婚のコトは知らなかった。

「名前は?」

「分かりません…」

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