オフィスの華(令和版）～若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係～

「栗原さんのコトはご存知ですか?」


栗原さんの名を訊いた途端、彼は急に飲んでいた水割りで噎せてしまった。
「大丈夫ですか？」

「知ってるも何も…アイツは俺から金を奪った悪人だ…それに…俺はアイツのせいで深い傷を負った」

濱部社長は右腕の袖を捲り、傷口を見せる。

「俺はアイツに間違われて、ヤクザに拉致されてボコボコにされたんだ。
　その際、利き腕の右を骨折した。その時の傷だ…、まぁ、自分の代わりにボコられた俺を部屋に連れ帰って、傷が癒えるまで世話はしてくれたけど…そこまでは許せる。でも・・・その後、俺の口座から勝手に一千万引き出したんだ…」
「そんなコトあったんですね…」
「だから…栗原には関わらない方がいい…」

関わるなと親切に忠告されたけど、彼は私の上司になる人。

「御忠告ありがとう御座います…濱部社長」

彼に一応礼を言う。