オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
一人で『泡沫』に足を運んだが、華の姿はなかった。
訊けば、華は週に一度ぐらいしか顔を出さないらしい。
全く店を継ぐ気はないようだ。

日曜日は従兄の相馬耶刃(ソウマヤトウ)常務に誘われ、赤坂の老舗料亭『梁山閣』に足を運んだ。

「俺に会わせたいヤツって…誰だ?」

「俺の大学の後輩だ…」

「まさか…」

「遅れて申し訳ありません…相馬常務」

「おおーっ…トーマ来たか…」

うっ・・・恋敵の濱部社長…

「彼は大手化粧品会社『星凛堂』の取締役・濱部透真だ」

「知ってる…昨日会った…」

「そうなのか?トーマ」

「あぁー…俺の隣の部屋に住むらしいな…」

「そっか…同じマンションで隣同士か…じゃ仲良くやれよ…祐早斗」

「俺は別に…仲良くしたくない…」
「そう言うなよ・・・」
「俺も遠慮しとくよ・・・」

俺達は互いにけん制し合った。

「・・・トーマがそんな風に言うなんて…珍しいな…」

「俺だって…人の好き嫌いはある。誰にでも…愛想がいいワケじゃない…」

「まぁまずは…乾杯だ」

何も知らない耶刃は俺と濱部社長の仲を取り持った。

華とひと晩過ごすなんてなんて羨ましいヤツだ。くそっ。

俺は不機嫌に酒を煽っていく。

「おいおい!?ピッチ早くないか?祐早斗」

「それよりも耶刃…親父はいつから・・・『泡沫』に出入りしてたんだ?」

「『泡沫』??あ…知可子ママの店か…最近だと思うぞ…知可子ママの美貌は夜の世界じゃ有名だからな…今まで、面食いの会長が店に行かなかったコト事態が不思議だったぞ」

「そうなのか…」

「会長は知可子ママで、相馬社長は娘の華さんに夢中というワケか…」

「祐早斗…そうなのか?」

耶刃は濱部社長の言葉に目を瞠った。








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