オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
シンデレラ課の室長
正式な異動は新社長の帰国後らしいけど。
既に経理課には私の異動が通達されていた。

昼休憩、一緒になった今田主任に本音を吐露した。

「私…社長秘書なんて嫌です…今田主任」

六月に結婚したばかりの新婚ホヤホヤの今田由紀奈(イマダユキナ)主任に泣きついた。

「よしよし」と主任は私の頭をポンポンして慰めてくれた。

彼女は私の入社当時からの教育係。
私の素顔を知り、瓶底眼鏡を掛けて社内では地味に過ごす理由を知っている。


「でも・・・大丈夫?栗原さんと二人で秘書室で仕事するんでしょ?」

「そうですよ…」

――――私のアフターの秘密を知っているし、彼を邪険には出来なかった。


「これでも食べて…泣き止みなさいよ。染中」
主任は私にチョコパイをくれた。
「ありがとう御座います」

私はチョコパイを受け取った。

主任は缶コーヒーを一口飲んで、ひと息ついた。
十階の展望テラスのベンチから眺める都心の風景も良かったけど、最上階の社長室から見た景色の方が素敵だった。

「染中さん…」

私達のベンチをグルリと秘書課の社員たちが囲んだ。

秘書課の室長・小畑奈央(オバタナオ)さんが私を呼んだ。彼女は大卒、私は短卒の同期入社。
高校時代は肩下のロングヘアだったが、今は肩のラインの辺りで切り揃えられたボブカット。
身だしなみには人一倍気を配り、いつも黒髪はツヤツヤしていた。

ビシッとアイラインの入った瞳で私を睨み据える。









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