オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
私は駅構内のトイレで着替え、いつも着けている瓶底眼鏡を外し、華になる為着飾る。

最後の仕上げに、濱部社長から貰ったこの秋新発売する『星凛堂』のボルドーのグロスで唇を彩った。
ラメ入りのグロス。
濡れたような色合いが唇を艶めかしく魅せる。

私は改札口を出て、祐早斗様を捜した。
彼の姿を見つけ、慌てて息を切らせ、走り込んだ。

「お待たせしました…」

祐早斗様の隣には栗原さんも居た。

「俺の今来た所だ」
素っ気ない振りして返す祐早斗様。
でも、栗原さんはクスクス笑っていた。

栗原さんは私の顔を見て、染中さんに似てると言い出すし、背中に焦りの汗が伝った。

祐早斗様には申し訳ないけど、私はもう少し時間が欲しかった。


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