MoonLight-あなたがいるから-
姉より4歳年上の彼は私と8歳年が離れている。だからずっと妹のようにしか思われていないのはわかっていた。

私自身物心ついてしばらくは頼りになる隣のお兄ちゃんとしか思っていなかった。姉しかいない私にとっては彼の存在は特別で、友達が我が家に遊びに来た時などに彼と家の前でばったり会ったりすると、自慢したい衝動に駆られて必要以上にまとわりついたりした。そんな私に彼もまた嬉しそうに応えてくれた。それがとても嬉しかった。

彼はどんな時も優しくどんな時もかっこよかった。

そんな憧れが淡い恋心に変わるのに時間はかからなかった。

でも好きって気づいても自分の立場はどうにもならないことはわかっていた。それはもう痛いほどに強く。

だってその頃にはもう2人は付き合っていたから。そしてその1年後2人はともに語学留学でアメリカに行ってしまった。

2人の人生は私抜きでどんどん順調に進んでいて、私には成す術がなにも無かった。

そしてまた何かしたいと強く思えたわけでもなかった。

でも彼が好きな気持ちはなかなか自分の中で消化できず、彼が姉とアメリカに行ってしまった後に何人かの男の人とお付き合いもしたけれど、比べてしまうばかりで全然ダメだった。

私はたぶん彼のいいところしか見ていないのに比べてしまうなんて申し訳ないとは思うけど、その気持ちはどうしようもなかった。

どうしようもない自分がとても辛かった。

そして怖かった。

‥今も怖い。
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