【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
 言われたことに、美波は急いでポケットからスマホを取り出した。
 普段、あまり見ないトリッターを開いてみる。
 北斗のアカウントはもちろんフォローしていたので、すぐに見ることができた。
 そしてそれを見て、息を飲んだ。
 北斗のアカウントにあった、リツイートのつぶやきだ。

『モデルの向坂 聖羅です。この度は私の軽率な行動で、今角さんにご迷惑をかけてしまいました。申し訳ございません』

 向坂……さん?

 美波はぼうっとそれを見た。
 犯人は聖羅だというのだろうか?
 でもその通りのようだった。
 そのあと経緯が書いてあった。
 北斗が美波を抱きしめている写真を撮ったのは自分だと。
 そしてそれを、こっそり作ったアカウント、いわゆる捨てアカウントというものから発信したのだと。
 北斗と美波、それから発信を見たひとたちにも謝りたい。
 要約すると、そう書いてあった。
 あずみも、先輩の女子たちもそれを読んでいて、しばらくその場は静かだったけれど、そのあとざわつきだした。
「モデルの聖羅ちゃんが……犯人?」
「そう書いてるよ……自分で……」

 みんなが読み終えたのを見計らって、だろう。
 北斗の放送が再開された。

『事情についてはわかってもらえたと思います。このあとは、つぶやきの内容が本当かどうかです。結論からいうと、あれは嘘です』

 北斗ははっきりそう言い、次は違う意味でその場がざわついた。

『あれに写っているのは俺の幼なじみの女子ですが、彼女ではありません』

 北斗は言い切った。
 美波の心臓が、ひゅっと冷える。
 彼女ではない、と言われてしまった。

 いや、そんなの当たり前でしょ。

 自分の中の、冷静な自分がそう言った。
 そう、そうだ。
 自分と北斗は付き合っているわけではない。
 いくら北斗が自分を抱きしめてくれたり、キスしてくれたりしようとも、付き合ってはいないのだ。
 だからそう言って当然である。
 でも美波の胸は、それにずきずき痛んできてしまった。
 北斗の気持ち。
 こう言い切られては、わからなくなってしまいそう。
 そんなふうに思ってしまい、心の中で思いきり首を振った。
 全部本当のことだ。
 でも、それで終わりではなかった。
 北斗の声がそのあと続いた。

『彼女ではないですが、それは現時点でです』

 よくわからないことを言った北斗。
 美波は胸を痛くしつつ、それに内心、首をかしげたのだけど。

『このあと彼女になってもらいます。……方野 美波。俺の一番大事なひと。俺と付き合ってください』
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