元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 それが酔ったようにゆらゆらと揺れた。

「私は恋をしている」

「シュシュ、大人になったなぁ。んで、どんな子? 羽根の色は? 尾羽長い?」

「柔らかくて弱い」

 シュクルが呟くように言う。

 軽く握った自分の手を見下ろし、ぐっと力を入れた。

 ふん、とギィが鼻を慣らす。もう飽きたとでも言いたげだった。

「ちっ……。やっぱ、レセントは俺が管轄すりゃよかった」

「……そうだな。白蜥が治めるよりは、黒のが治めた方が有事の際に被害が少なくて済んだかもしれない」

「だよなぁ? お前はガキどもと違って話が合うわ」

「その話はまたの機会にしよう」

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