元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
(人間と考え方が違うっていう以前に、そもそもシュクルがちょっとズレているのよね!)

 悩みに悩んだ末、ティアリーゼは説明を諦めた。

 だが、頭を働かせたおかげでいつもの調子が戻ってくる。

「あ、あのね、シュクル」

「なんだ」

「私……あなたの子供なら……その、産めるかも……しれないけど……」

「今?」

「いいい今じゃないわ! いつかの話!」

「残念だ」

 あまりそうは思っていない口調で言うと、シュクルはすっと引いてしまった。

 相変わらず引くときは早いらしい、と思いながら、ティアリーゼは離れていくシュクルの手を掴む。

< 177 / 484 >

この作品をシェア

pagetop