元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
魔王様はキスがお気に入り
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あの日から、ティアリーゼは一応シュクルの恋人になった。
ティアリーゼから特に伝えていないにもかかわらず、メルチゥは嬉しそうにしていたり、トトは苦い顔をしていたりと、どうやらシュクル経由で広まっているらしい。
(……事実だからまぁいいとして)
満月のきれいな夜、ティアリーゼはベッドの中で寝返りを打つ。
いつもは広々と眠っているのに、今日に限って狭いのはシュクルのせいだった。
ティアリーゼが外から戻ってきたとき、この魔王は既にベッドの中で暖を取っていた。
しれっとした様子で待っていたと告げ、なにを言っても動こうとしない。