元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 おとなしく手を繋いでいればいいものを、シュクルは意外に落ち着きがない。ティアリーゼの身体を好きなように撫で回し、その感触を確かめる。

「潰してしまいそうだ」

「わかったから、もう……」

「なんだ、これは」

「下着を引っ張らないで!」

 危うく下着を奪われそうになり、慌てていたずらな手を止める。

 困るのはシュクルになんの色めいた雰囲気もないことだった。

 触れても大丈夫だとわかったからか、単純にこの触れ合いを喜び、楽しんでいる。

 いっそ下心でもあった方がまだ拒みやすいのに、あまりにも動機が純粋すぎてティアリーゼも今一歩拒み切れない。

< 186 / 484 >

この作品をシェア

pagetop