元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
孤独に啼く
***
あれから、シュクルはあの手この手でティアリーゼにキスをしようとしてきた。
もはや恒例となった添い寝のときも、うっかり向き合えばすぐ唇を奪われる。
おかげで最近、ティアリーゼはシュクルに背を向けて寝る羽目になっていた。それはそれで構わないらしく、後ろから抱き締めて喜ぶのがシュクルなのだが。
(……まったくもう)
シュクルの熱烈すぎる求愛行動をいなしつつ、ティアリーゼは紅茶のカップを口に運ぶ。