元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「どうせ食らうのなら、もっと『食いで』のある獲物にする」

「やめろよー、本気にしちまうじゃん。焼き鳥だけは勘弁な」

「生でいく」

「ははっ、お前も冗談言えるようになったんだなぁ」

 また、キッカはシュクルを小突いた。

 鬱陶しく思いながら、シュクルはそうやって触れられるようになったのがいつからだったのか考える。

 ティアリーゼと出会う前、魔王たちの集会で会ったときはもっと遠巻きに見られていた。

 突然魔王となることになった若い雛。今までなんの知識も経験も与えられていなかったせいで、まともに会話すらできず。

< 310 / 484 >

この作品をシェア

pagetop