元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 兄を殺さないでほしいという懇願も、シュクルは冷静に跳ねのけた。

 最初に目が覚めた瞬間、ティアリーゼは身体に残る倦怠感も痛みも忘れ、シュクルに詰め寄ったのだ。

 なぜ殺したのか、と。それに対してシュクルは平然とこう言った。

 ――ティアリーゼを傷付けられた報復をするためだ、と。

 あまりにも当然のように答えられ、ティアリーゼはその場にいたトトやメルチゥに助けを求めてしまった。

 凄惨な現場を語り、やりすぎだろうと訴えたが、ふたりともシュクルと大して反応は変わらなかった。

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