元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「……普通、新郎は結婚式まで見に来ちゃいけないのよ」

「それは人間のやり方だ。今後、我々の間ではこういったやり方になる」

「今後?」

「この形で結婚式を行うのが流行する気がしてならない。何人か、自分の参考にすると言っていた」

「あら……」

「いずれ、文化も混ざり合う。私たちが交わったように」

 シュクルがうやうやしくティアリーゼの手を取り、指の先に口付ける。

「ど、どうしたの?」

「人間はこうするものだと聞いた。私もまだ学ぶことが多い」

「あなたがそういうことをすると思わなかった」

「お前にこの感情を伝えるためなら、どんな方法でも試す」

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