元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。

 更にティアリーゼは罰として三日ほど尻尾の手入れを拒んだ。同情を誘う哀れっぽい鳴き声を上げていたのは記憶に新しい。

 しかし、まだ凝りていないらしかった。というより、なにがいけなかったのか、いまだにわかっていない可能性がある。



(こういうことも教えていかなきゃ……)



 四百年ほど他者と関わってこなかったシュクルは、亜人たちの常識も、それ以外の常識もところどころ欠けている。

 会話がうまくできなかったのも、表情をきちんと作れず、感情表現を尻尾に任せていたのもその弊害である。

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