元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 先日夫婦――彼らの言い方で言うのなら、つがいという方が正しい――になったこともあり、ティアリーゼは今まで以上にシュクルの教育に気を使っていた。

 知らぬは本人ばかりで、けろっとしている。



「それで、私になんの用だ」

「ベッドに変なものがたくさん落ちていたから、あなたになにかあったのかと思って」

「変なもの?」



 先ほど拾った謎の物体をカゴごとシュクルに差し出す。

 しげしげと見ていたシュクルは、不思議そうに首を傾げた。



「これは変なものなのか」

「そう思ったんだけど、あなたはこれがなんなのか知っているのね?」

「いかにも」



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