元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 ようやくティアリーゼにも合点がいく。

 シュクルは自身の皮と引き換えにこれだけの財宝を手に入れてきたのだ。

 確かに、人間からすれば竜の皮などとてつもない宝だろう。本物だと知るや、目の色を変えて欲しがるのも当然である。この装飾品の山にも頷けるというものだった。



「他に、髪を少し、爪のかけらを少し、角も先の方を砕いた」

「えっ」

「牙はやめておいた。他に瞳と心臓に価値があると言われたが、さすがに困る」

「そんな、そこまでして……」

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