元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 とさり、とティアリーゼの身体がベッドの上に下ろされる。

 覆いかぶさったシュクルの首に腕を回すと、人間の姿でも確認できるそこの鱗を指で撫でた。



「もうひとつだけ約束してくれる?」

「うん?」

「ひとりで目を覚ますのは寂しいの。だから、私が起きるまでちゃんとここにいて」

「わかった。明日はお前が目を覚ますまで抱き締めておくことにする」

「……うん」



 シュクルの膝がティアリーゼの両足を割る。

 先ほどよりも口付けは熱っぽくなっていた。

 今夜もまた、二人は触れ合う。

 溶け合ってひとつになるまで――。

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