元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 朝から襲うと怒られてしまう。尻尾の手入れをされなくなるのも辛いが、あまりにひどいことがあると、ティアリーゼはシュクルと眠ってくれなくなるのだ。

 もう一度、ティアリーゼが目覚めることを期待して鳴いてみる。

 しかし、残念ながら閉じたまぶたは開かなかった。



(先に食事を済ませる。それから、ティアリーゼを見に来る)



 自分の中でこの後のことを決め、衣服を整えてから外に向かった。



 シュクルの朝食は簡素なものである。

 基本的には肉類が多く、人間のもののように手がかけられている状態は好まない。

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