指先が触れるには遠すぎて
「もしもし」
《はーい、何〜?》
「あのさ、私決めた」
《え、決めたって何を?は、ちょっと待って、え、まさか決めたって告白?毛利さんに告白すんの!?》
私は両手いっぱいに抱えきれなくなってしまった想いを、この口で直接伝えようと心に決め、その報告を親友にしていた。
親友には以前から毛利さんのことに相談に乗ってもらっていて、何もかも知っている。
私が恋愛に対して臆病で奥手で、自分からなんて絶対に行かないような人間だって知ってる人。
だけど、そんな自分が嫌で嫌で仕方なかったことも彼女は分かってる。だから勇気を出そうと、腹の底から振り絞った。
《うっっっそ、本気で言ってるの?》
「うん、本気」
だからこそ、彼女は本気で驚いている。
《そっか、びっくりしたけど立川が決めたことだもんね。頑張って》
きっと両想いに違いないよ、と彼女は私の背中を押してくれた。
「ありがとう…いい報告ができたらいいな…」
大きな期待を抱きすぎてはいけないと分かっているつもりだけど、期待せずにはいられない自分がいる。
親友との電話を終えたあと、毛利さんに「明日、夜会えませんか?」とLINEをした。すぐにOKの返事をもらい、心臓はバカみたいに飛び跳ねる。