だけど本当は、きみが最初で最後の恋

「選んでくれるの？」

「だって、とーかちゃん普段おしゃれなのに成くんとデートとなると照れてバチバチに強めな洋服とか選んじゃいそうなんだもん」


どうしてわかったんだろう。黒のトップスにゼブラ柄のショートパンツにヒールがないブーツを合わせようとしてた。

そういう格好も好きだけど、デートといえばもっとふわっとゆるっと可愛らしい感じ…がふつう、だよね。


「この組み合わせどうかな？」


あたしのクローゼットからいくつか洋服を取り出して、こうじゃないああじゃないと悩んでいる姿が可愛くてずっと見ていたかったけどどうにかコーデが完成したらしい。


ベッドに置かれた、白のティアードワンピースに淡いピンクのタイダイ柄のくしゅくしゅパンツの同色コーデ。

茶色のローファーと肩掛けの白いかばんを持ったら完全にかわいいのがわかる。


「ねえ可愛いらしーすぎるでしょ。姫春と出かけるんじゃないんだから」

「でもデートだって言われたなら、可愛くしないと」


そういうものなのかなあ。なんか、制服でくらいしか会ったことないから感覚がわからない。


「そんな格好したってアイツは可愛いと思ってくれないと思う」



あ…でも、前に、へんなこと言われたっけ。


───『とーかは、可愛いから、危ない』



「可愛いって思われたいんだねえ」

「っ、ぅ、え、え…？」

「ねえとーかちゃん、悩んでること、ある？」


覗き込むようにしてそう聞かれ、今まで隠して誤魔化してきたものが、はらはらと剥がれていく気がした。