だけど本当は、きみが最初で最後の恋

姫春の華奢な肩につかまってデレデレしちゃって、本当に節操のないヤツ!


「姫春っ」


急いでガキみたいな悪口しか言えないくせに猫をかぶってカッコつけて偽りのモテを堪能するバカから大好きな女の子を引き剥がす。


「あ。とーかちゃんってば意地悪しちゃだめでしょう、成くん遅刻しちゃうところだったよ?」

「してくれたら気休めになったのにね……」


この子は善岡姫春。名前の通りとてつもなくいい子で中条あ◯みちゃん似でお人形みたいに可愛いらしくてずっと抱きしめていたくなるお友達。


ちゃらんぽらんの手から奪いとるように引いた身体をぎゅうっと抱きしめる。高2から同じクラスになって仲良くなったけど大好き。

だから成咲の毒牙にかかってほしくなくて本性を愚痴混じりに伝えてはいるんだけど、いつも女神の微笑みで「ふたりは本当に仲良しだね」なんて言うんだ。仲良しだなんてありえない!



「成咲、姫春には近づかないでってあれほど言ってるでしょ」


ちやほやされてる時間に水を差すように睨んでやる。まわりはあーあとーかちゃんはまた成くんに絡んでるよ、みたいな目で見てくる。

違うんだよ。本当は話したくも顔を見たくもない。だって大きらいだから。


「わかってるよ。魅力的だけどおれは姫春ちゃんの幸せを願ってるから彼氏がいる子を無理に奪おうとしたりしないよ。寄りかかってたのは誰かさんに足を負傷されて壁伝いに歩いてたら誰かさんと違って心優しい姫春ちゃんが助けてくれただけ」

「な…ア、アンタの反射神経がわるいせいじゃ…」

「とーかは友達想いだなあ」

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