だけど本当は、きみが最初で最後の恋
心臓がどきどきと鳴っている。
「……あのね、実はいろいろと、悩んでて…」
「いろいろ?」
何がはじまりだったかな。こんなに頭のなかがぐちゃぐちゃになりはじめたのは。
成咲からされた噛みつくようなキスも、頬を舐めた舌も、初めて言われた可愛いからって言葉も、進路がわかった時も、あたしより弱かった頃の泣き顔も、きっとちがう。
かたちを変えたのは。
「あたしね、成咲が寝てる時…キスしちゃったんだ」
「——— えっ」
その後は姫春からの誘導尋問攻撃をされ、弥生に告白されたこと、その気持ちに全く今まで気づかなかったこと、成咲のことが意味わからないことまで吐かされた。
今まで話せていなかったこと、ぜんぶ。
姫春は笑ったり、一緒にわからないって顔をしてくれたり、ちょっと切ないような声で返事をしてくれた。
もっと早く話せばよかった。
どんなにくだらない、成咲との出来事だって姫春は優しく、ちゃんと聴いてくれる。
次の日は朝から、せっかく選んでもらった服装がだいなしにならないように準備で大いそがしだった。
ティアードワンピって必要以上にひらひらする…。
もちろん下にズボン履いてるから見えちゃうとかはないけど、その…気が散るんだ。
「ん」
こっちはそわそわしちゃうのに案の定何の反応もなくヘルメットを渡される。