だけど本当は、きみが最初で最後の恋




今日弥生は記述模試らしくお休み。つまり…ついに!ひとり登下校が実現する!

けっこう憧れてたんだよね。アイツがいるといかに貶めるかに集中しちゃうし、弥生がいるとイケメンな顔に夢中になっちゃうから、寄り道したりぼけっと無になる時間をもったりしてみたかったんだよね。


朝はそんなに時間を持てないから放課後が勝負だよ。あー清々しい!ひとりってけんかもしなくて済むし気楽だなあ。



「ちょっととーかちゃん!!」


教室に着くなり修学旅行の大部屋メンバーたちが詰め寄ってきた。こういう状況は入学とかクラス替えとかのタイミングでちょくちょくなる。

主にアイツとの関係を疑われて…なんだけど、時期外れだな。


「どうしたの?」


そう聞くと肩を掴まれがくがくと揺さぶられる。


「ぼうっとしてる場合じゃないよっ」

「成くん、他校の女の子と朝から寄り添って歩いてたんだから…!」


え、なんの話?


「うちらとーかちゃんならって思ってるのにどこの馬の骨かもわからない女の子に成くんをとられたくないよ!」


勝手に盛り上がっているみなさんに置いてきぼりのあたし。

ちょっと落ち着いて話を聞かせてくれと頼んでみれば、まあそれはそれは今朝の清々しい気持ちも流れてしまうほど腹立たしい話。


成咲が、あたしを送り迎えできなくなった理由。
それは他校の制服を着た女の子をわざわざ学校まで送り届けていて、だから最近到着がギリギリもしくは遅刻してるってことだった。


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