だけど本当は、きみが最初で最後の恋


しかも…寄り添ってたってなに!?


「え、今日弥生いないの?オマエ朝大丈夫だった?」

「……」


今日もギリギリで登校してきたかと思えば、席につくなり眉を寄せながら聞いてくるバカ面。みんな、コイツのどこがいいのか教えてくれ。


「べつに平気なんですけど。毎朝毎朝同じこと聞いてこないでくれる?答えるのめんどくさい」


みんなは成咲優しいじゃんって思うかもしれないけど四六時中心配されてみ?めちゃくちゃにうざったいからね。

そんなそうそう事件に巻き込まれてたまるかって感じだし、もちろんあれ以来巻き込まれたこともない。


「はあ?おれはオマエのことが心配で、」

「じゃあいつもみたいに送り迎えしてくれたらいいじゃん」


ぬあっ。へんなこと口走っちゃったじゃない。

慌てて発言を取り消そうとしたけど、あまりにも申し訳なさそうな表情を浮かべているから言葉が出なくなってしまった。


「ごめん……」


コイツがこんなに気を咎めているのは、やっぱりあの約束があるからだ。

やっぱり、髪を結わいて傷を見せびらかして縛ろうとなんかしなきゃよかった。どうせコイツはもうとっくに縛られちゃってるんだ。


「べつにアンタがいなくたって、あたしはひとりでも平気だから」


そうなりたいんだよ。本当にそう、思ってるんだよ。

だからアンタもそう思ってよ。


< 141 / 169 >

この作品をシェア

pagetop