だけど本当は、きみが最初で最後の恋
姫春とふたりで歩く。あたしが成咲の迎えを断ったからって送ってくれるらしい。
あとで成咲を呼びつけて姫春を送らせるつもりだ。心配だもん。
他愛のない話をしようとしたら、姫春が足を止めた。
「どうしたの?」
言いにくそうな顔をしている。でも言葉の続きを待たないといけない気がした。
「…わたしも、えこちゃんの言う通りだと思う」
「え……」
「あの事件は本当にこわかったんだと思う。この前のとーかちゃんの様子を見て、話しに聞いてただけじゃわからない傷を感じた。ふたりともたくさん後悔したり、思い出したり、くるしんだりしながら、相手のことを考えてきたんだろうなあって。いつも相手が元気でいられるように、けんかばかりの日々を送ってきたんだろうなあって…わかったよ」
なんだか恥ずかしい。今じゃけんかしちゃうのはもう致し方ないくらいアイツがただただ腹立つだけ。
でも、最初のきっかけは、気を紛らわせるためだった気がする。
「ふたりともいつまでもあの時のことを気にさせてしまってるって思ってたら、一生このままの関係だよ。ううん…いつかきっと、後悔しちゃう」
後悔なんて。
そんな予想したくない。考えたくないよ。