だけど本当は、きみが最初で最後の恋
慣れないことばっかりしてくるけど、もしかして、…きらわれては、ないんじゃないか?
そればっかりになっちゃうから考えないようにしてたけど、キスだってされたし。なぜかされたし。あんなのカウントしていいのかわからないけど。
「なんか食う?」
「え、あ…たこ焼きと焼きそばとおでんとじゃがバタが食べたい」
とりあえず屋台の文字で目に入ってそそられたものを並べると笑われた。食いすぎって。だって久しぶりのお祭りなんだもん、浮かれちゃうよ。
「甘いのは?」
「甘いのは…成咲が食べるだろうから、ちょっとだけ分けてもらう」
「それ前提かよ」
「成咲もじゃがバタくらいはいけるんじゃない?大学行ったら咲乃ママのもと離れるんだし今のうちに慣らしておいたほうがいいと思うけど」
おなか痛い痛いって大学で騒いだらモテないよ。
まあたしかに、とつぶやいてじゃがバタ買いに行ってる。本当は別のところに並んで買って時間削減したほうが効率良いんだろうけど、やっぱり心細くて成咲の行くほうに着いてっちゃう。
それをわかって、あたしが食べたいと言ったものから買いに行って、それから自分のわたあめを買ってた。…やけに優しい。雪?雷?隕石?降ってくるんじゃないか?
「あのけんかした公園で食うか」
「ベンチあったもんね」
きっとみんな向こうの広場で花火を見るだろうから、あたしたちは買い占めて反対方向の公園へ。
ここもずっと避けてた。遊具が増えてる気がする。
「記念に撮る?」
「あ、うん。一緒に撮ってあげてもいいけど」
「え、今日隕石降る?」
……コイツ、あたしは飲み込んであげたことを平気で言う。腹立つなあ。