だけど本当は、きみが最初で最後の恋
買ったものをベンチに置いて、内カメにした携帯に寄る。
恥ずかしくてピースも指ハートもできなかったけど。…というか!
「なんでアンタとふたりで撮らないとならないの!?」
「一緒に撮っていいっつったのオマエだろ」
そうだけど…そうだけど!
すぐに成咲から送られてきた写真は、ふたりともなんか、照れくさそうで見てられない。
なんだこれ。
なにこの状況。こんなこと、今までなかったのに。
「たこ焼きのにおいうまそう」
「これくらい平気じゃない?食べる?」
「うん」
割り箸を取られる。いや、焼きそば屋さんでももらったからもう一本あるんですけど…まあコイツがいいならいいや。
「なんかさあ」
「うん」
「意外と、平気だったね」
「だな」
「食べてるだけだけど、楽しんでるよね」
「おー」
それだけで何歩も前進できたような気持ちになれた。成咲もそうかな。
「あ、成咲、ほっぺにおかかついてる」
「え、どっち?」
「右」
いや右って言ってんのになんで左触ってんのコイツ。バカなの?バカでしょ。今の光景のせいでどっと疲れた。
「こっちだってば」
仕方なく取ってあげる。コドモじゃん。
でも、あたしのこと、守ってくれるらしい。
成咲と一緒にいると、自分らしくいられる。
憎まれ口をたたいて、毒づいて、けんかして、隠した気持ちだって、それは自分自身のもので、成咲がいるからそれが生まれた。
──── 後悔しちゃうよ。
──── 後悔すんなよ。