だけど本当は、きみが最初で最後の恋
18年間で一番意味が分からない目の前の光景をただ茫然と見つめる。
コイツ…何のん気に食ってんの?タオル欲しかっただと?自分で買えよ!
「プレッツェルってしょっぱくないやつもあるんだなー。砂糖入れた?」
「…にんじん入れた」
「は!?なんでにんじん入ってるやつおれに渡してくるんだよ!オマエって本当にイヤガラセするの好きだよな」
どっちがイヤガラセだよ。
こっちは微塵もその気はなくて、これからお世話になるであろう隣人さんへのプレゼントとして可愛くラッピングしたってのに…なんで……。
「スピンオフ本買ったからあとで貸しに行こうと思ってたんだよ。なのになんでにんじん入れるんだよ」
「スピンオフは読みたい…けど、なんで成咲がここにいるの!?」
にんじんのことはどーでもいい!なにこれホラー映画?なんなの?びっくりして心臓止まるかと思った!
あたしが悪かった?何を隠そう過保護な一家で育ってしまったため、せめて住むところは決めさせてと泣く泣く言われて承諾したら…え、どういうこと?本当に頭がついていかない。
意地を張ってコイツの大学を聞かないままにして……いやでも、そうだとしても、ありえなくない?
「とーかってさあ、自分がこうだって思い込んだらそれまっしぐらだよな。しかも鈍感。鈍感というか周り見ねーから気づけない。おれオマエと同じ日にオマエと同じトラックでここに荷物運んでたんだけど」
「あ…手伝うために一緒に来てくれたのかと思ったら着いてすぐいなくなっちゃってむかついてた…」