だけど本当は、きみが最初で最後の恋
「その様子じゃ朝のあの後からずっと寝てたみたいだな。メシも減ってねーし」
テーブルの上に置かれたごはんと、ビニール袋。うっすらと野菜ジュースやらゼリーやらが見える。
あたしが好きな野菜ジュースだ…。にんじん濃いめのやつ。風邪の時にふつうそれ買う?飲むけど。
「なにそれ……買ってきてくれたの?」
「言っとくけど買ったのはおれじゃなくて弥生と姫春ちゃんだからな!」
「あーハイハイ。うるさいなあ」
ウソだね。鼻の頭をかいた。ウソついてる時の癖。ダサい。アンタのダサいところはぜんぶ知ってる。
「ごはん…食べようかな。とって」
「おー。温めてきてやるから待っとけ」
そう言って部屋を出ていく。
妙にしおらしい態度。
あたしの中からいつも通りが遠ざかる。
顔見たくないのに…あんなの買ってきてもらっちゃうと追い返せないじゃない。
ふとんに突っ伏す。
泣きたい。消えたい。
ドアが開いた気配がして顔を上げると、成咲はベッドに腰掛けてきた。
「食わせてやるよ。ん」
にやりと口元を緩ませてスプーンを差し出してくる。
「気持ちわるい」
「ああ!?」
「アンタはそんな優しいことできないでしょ。期待してないし、自分で食べれる」