だけど本当は、きみが最初で最後の恋


そう言うと「かわいくねー」「げ、にんじん入ってる」なんてつぶやきながらスプーンの上のおかゆに息を吹きかけはじめた。


あたしが猫舌だって知ってる。

かわいくねーことも知ってる。


お互いがカッコわるいところを、ぜんぶ知ってる。



「あたしに可愛さ求めないでよね」

「熱出ても元気にボーリョク振るってくるしな。…ん。もう冷めただろ」


渡されたスプーン。

ふつうの顔してる。ふつうに優しい顔。そりゃそうか。あたしだけがふつうからは遠い。


ねえ。じゃあこれは知ってる?


昨日のアンタ、あたしの夢を見てあたしの名前を寝言でつぶやいてたんだよ。

あたし、昨日寝てるアンタにキスしたんだよ。

もしかしたら知恵熱じゃなくて、本当にアンタの熱をもらっちゃったかもしれないんだよ。


大きらいなのにおかしいよね。


「あつさ、ちょうどいい」

「ん」



血迷ったよ。ごめん。


ごめんね。


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