だけど本当は、きみが最初で最後の恋
おそらく最後であろう進路についての面談は、クラスであたしが一番最後におこなわれた。
「まあ永作の成績なら心配ないというか、A大とか、もっとレベル高いところ行けんだけどな」
何かの資料を見ながら担任の矢川先生がぼやくように言う。
進学先はもうずいぶん前に決めている。県内で家からぎりぎり通える語学大学だ。
「いやあ、充分でしょ」
「まあな。でも、じゃあ、幼稚園通ってた頃から続く固すぎる幼なじみのかわいらしー縁はここで途切れるわけだな」
「可愛いらしいって、成咲とあたしのことを言ってます?冗談じゃない」
どこが可愛いんだか。可愛いさのカケラもない。アイツのせいで。
今朝だってけんか勃発だったし、今頃校舎のどこかで面談が終わるのを待ってるんだろうけど、待ってなくていいっつうの。
「途切れるって?」
「は?おま、伊野の進路聞いてないのかよ」
「いやあ…どーでもいいし」
どうせまあ、送り迎えができる範囲でしょ。いいって言っても譲らないバカのことだし。とはいえあたしも受ける大学の話してないから、同じなのは県内ってところくらいかな。
だってあたしのほうが成績が良かったはずなのに、気付いたらこの進学校にアイツも入ってたんだよ?入学式での絶望感…思い出しただけで泣きそうになるほどうざい。
その時久しぶりに咲乃さんにも会ったんだっけ。
きっとこれからも近くにいるんだと思う。めんどくさいしうざいけど。
「おまえらなあ…もっと素直にお互いに興味持てよ」
「素直になってるから興味ないんですよ」
そう言い返すと深いため息をつかれた。なんでだ。