だけど本当は、きみが最初で最後の恋

頭のてっぺんからつま先まで、隅々バカ細胞でできている。


コテで伸ばしてワックスでふわっとセットしてるけど、本当は水に濡らしたらくりんくりんの天然パーマになるくせに。

にこりと微笑み可笑しいくらい爽やかに軽やかに「おはよう」とつぶやいてる。不自然でとっても気色がわるい。


本当は首の後ろつつくだけでくすぐったくて泣きながら笑うくせに。本当はさっきまでドスの効いたハスキー声をしてたくせにバカみたい。


みんな騙されている。


本当は必死にモテを研究してそれをただ実行しているだけの化けたダメダメバカ猫かぶり人間なのに!



「なんだよとーか、やきもち妬いたような目で見てくんな」

「気持ちわるい勘違いはやめろよ妬くかよ気持ちわるいなあ」

「妬くほどモテたいならまずその口の悪さなおせよ」


……イラッ。


そりゃあたしももうお年頃だし彼氏…いや好きな相手はほしいけど…!アンタとちがって、べっつにただモテたいわけじゃないわ。


だいたいこの口の悪さ、だっれのせいだと思ってるの?幼稚園年中さんからクソみたいに意地悪で、人扱いが雑で、あたしの前では被りもの全部剥いでめちゃくちゃ腹ただしい態度とってきたアンタに対応してきたせいだっつーの!


校舎に入る前にひと息。だるま落としをするようにヤツの弁慶にキック。

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