私の片想い
それ以来、宏貴くんは学校で会うと話しかけてきてくれた。一言二言だったけど、覚えていてくれることがなんとなく嬉しかった。
数ヶ月で宏貴くんは中学に上がって、私もその二年後、同じ中学に入った。
そしてまた、たまに学校で会うようになった。
「お。七海の妹。」
「いや私も七海だし。」
兄は名字で呼ばれていて、その妹という事で、七海の妹。
私が覚えている限り名前で呼んでくれたのはあの帰り道だけだった。
そして気づけばたまに学校で会うのが楽しみになっていた。
兄が私の教室に物を借りに来たり、私が逆に借りに行ったり、そういう時には大抵宏貴くんがいた。
だから用はないけど兄の教室に行ったこともある。
私は好きな人が出来なくて、適当にでっち上げていたけれど、宏貴くんと話す時以上のドキドキはなかった。
多分あれが私の初恋だった。