見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「良かった。それなら、これは結衣に持っていて欲しい」
彼の前に置いたリングケースが、私の手の中に戻ってくる。
心のわだかまりが残っている状態で、婚約指輪を受け取ってしまって良いのか不安になりながら和哉さんに視線を戻すと、彼は顎に手を当て何か考え込んでいた。
「……それじゃあとりあえず、嘘をついたことを後悔させるところから始めようか」
「こ、後悔?」
思わず繰り返すと、彼が不敵に笑う。
「あぁ。俺から結衣との三年間だけでなく、勇哉との二年間まで奪った罪は重い」
口元は笑っているけれど目はまったく笑ってなくて、思わず私は顔を強張らせる。和哉さんは明らかに怒り心頭だった。