見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「あなたまさか、妊娠してないわよね」
「やだ、そんなわけ……」
「ない」と言い切れなかったのは、生理が遅れているの思い出したからだ。
「ちょっと待ってて」
慌てて立ち上がり、戸棚へと向かう。以前、念のためにと買っておいた、妊娠検査薬を掴み取り、そのままトイレへ。
数分後、妊娠検査薬の結果を見つめたまま、自分の傍に立つ母へと、ぽつり話しかけた。
「お母さん。私……和哉さんとの子、産んでいいかな」
顔をあげて、しっかりと母の目を見て、力強く望みを口にする。
「産みたい」
複雑な顔をしていたが、やがて母は小さく笑ってゆっくりと頷いてくれた。
結果は陽性。
不安は大きくて、一歩を踏み出すのが怖くもあるけど、私はやっと進むべき新しい道を見つけられた気がした。