見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
番組内で、若い女性芸能人が、今人気のお店を紹介しますと言いながら歩道を歩いていて、そこはカフェのすぐそばだった。
紹介されるのは喫茶店かもと期待するが、登場したのはまった知らないイタリアンのお店で、こんな素敵なお店が新しくできたんだと、時の経過を感じてほんの少し寂しくなる。
機会があったら食べてみたいなと思いつつも、実家から都心まで電車を乗り継いで一時間近くかかる。
それに今は勇哉がいる。
ひとりでふらりと遊びにいくならそれほど苦にならない距離でも二歳児と一緒にとなると大変で、それにテレビに映ったレストランの雰囲気も、子ども連れで気軽に立ち寄れる感じではなかった。
デートとかならまだしもと考えながら、和哉さんの顔を思い浮かべてしまい、心の中に苦さが広がる。
和哉さんを頭から追い出して、テレビへと視線を戻したけれど、すぐにまた彼が私の中に舞い戻ってきた。
食事を済ませた芸能人はお店から出て歩き出す。話しながらゆっくりと進んでいくその背景に、公園の風景が映り込み、思わず息をのむ。
北側から公園に入って、駅に近い入り口へと抜けていく。それを見て、ふたり並んで歩いた記憶が蘇ってくる。