君じゃなきゃ。


「ま……また冗談言っ……」


言葉を全て言い終わる前にあたしは竹下先輩の腕の中へすっぽり包みこまれてしまった。


「言ったでしょ?僕はいつだって本気だって」


耳元に低音で囁く先輩の声は色っぽくて、その上耳にかかる息が、さっきおでこをぶつけた時のことを連想させて、さらにあたしの鼓動を速める。



「でもこれはちょっとまずかったね。ごめん、ごめん!」

パッと素早くあたしから腕を離し、呆然とするあたしの顔を覗き込むと軽く人差し指を口に当てて言ってきた。


「杉浦くんにはナイショね」


先輩……たまには冗談で止めておいてください……!


心臓が……持ちません……!



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