君じゃなきゃ。
未だ鳴りやまぬ心臓の音を静めようと深呼吸を何度も繰り返した。
先輩はアダプターをつないだプロジェクターを使ってスクリーンに映し出された画面を見つめている。
……でもスクリーンよりも遠くの何かを見つめているようだった。
「5年の歳月がやっぱり長かったね、絡まった糸はもうほどききれない……」
ポツリと先輩は言葉をこぼした。
「先輩……?」
「どうなるかわからないけど、ちゃんと話をしてみるよ」
「はい……先輩が幸せになる結論が出ることを願ってます」
「……ありがとう……相川さん。話聞いてくれて……」
先輩は優しい笑みであたしにお礼を言ってくれた。
「いえ……先輩が元気になってもらえたなら……良かったです」
その笑顔を見ると心がほっこり、温かくなる。
「さ、脱線しすぎたね。仕事しよう!」
「はい!」
仕事モードに切り替わった先輩はキラキラ輝いて見えた。