君じゃなきゃ。
「お待たせ~!」
メグミは10分もしないうちに息を切らして戻ってきた。
「メグミ早かったね~!」
「仕事の荷物置いただけだからね。あ、駅地下のカフェでも行く?」
「そうだね」
二人で並んで会社の玄関を抜け外に出た。
秋から冬に変わろうとしているこの時期の風は夜になると冷たくてどこか切ない。
「今日、杉浦くんとの予定は大丈夫だった?」
「うん。全然平気!」
実は誘われるどころかメールさえ交わしていない。
昼休みに
『何で先輩の前であんなことするの?』
と、メールを送ったが返信はまだなかった。