君じゃなきゃ。
そんなあたしの内心をよそに、先輩はゆっくり口を開いた。
「うん……時間が合わなくてね、電話だったけど……彼女に浮気してるかどうか聞いたんだ……」
「……」
あたしは唾をゴクリと飲み込み、先輩を見つめた。
「……そうしたらあっさり認めたよ……即答だった……」
「そんな……」
何も言えず、固まるしかできないあたしに、先輩は彼女と話したことを思い出すようにポツリポツリと話してくれた。
「……少しは嘘付くとか、戸惑うくらいしてくれたらいいのに……本当にあっさり答えたんだ……」
先輩の表情からわかる。
話をした結果、二人がどうなったか。
うまくいったなら……
先輩はそんな泣きそうな顔をしていない。