君じゃなきゃ。


「……別れたよ」


……やっぱり。


キツく唇を噛む先輩。


きっとまだ……彼女のことが好きなんだ……。



先輩は横顔を見ていたあたしの視線に気づいたのか、ハッと明るい表情になって

「こんな時は仕事をするに限るね!さ、仕事仕事!」

と、仕事を再開しだした。


無理矢理気合を入れるなんて……朝のあたしのようだ……。


そんな先輩の姿は見ていて苦しくなる。

あたしも落ち込んだ時や、不安なことがある時は仕事に打ち込んで、頭を仕事でいっぱいにして忘れているから。

……なんだか自分を見ているようで……。

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