君じゃなきゃ。


「先輩、コーヒーです。どうぞ……」

遠慮がちに先輩の机にコーヒーカップを置いた。


「あ……あぁ。ありがとう……」


先輩は何か考え込んでいるようで、手が止まっている。


さっきは無理矢理にでも仕事してたのに……。

でも彼女のことを考えているわけではなさそう。


「……課長に何か言われましたか?」


課長が話かけてくること自体珍しいから……きっと何かあったんだと思う。


「うん、察しがいいね。相川さん」

「さっき課長と話されてるの見てましたから」

「そっか……。実は緊急事態発生だ」


先輩は真剣な顔つきであたしの目を見てくる。


< 151 / 357 >

この作品をシェア

pagetop