君じゃなきゃ。
「先輩、コーヒーです。どうぞ……」
遠慮がちに先輩の机にコーヒーカップを置いた。
「あ……あぁ。ありがとう……」
先輩は何か考え込んでいるようで、手が止まっている。
さっきは無理矢理にでも仕事してたのに……。
でも彼女のことを考えているわけではなさそう。
「……課長に何か言われましたか?」
課長が話かけてくること自体珍しいから……きっと何かあったんだと思う。
「うん、察しがいいね。相川さん」
「さっき課長と話されてるの見てましたから」
「そっか……。実は緊急事態発生だ」
先輩は真剣な顔つきであたしの目を見てくる。