君じゃなきゃ。
足早に昨日先輩とリハーサルをしていた会議室へ向かった。
「……健人?」
恐る恐る会議室の扉を開けると健人はすでに待っていた。
会議室は北側で窓も一つしかないため、中は薄暗かった。
その中で健人は静かに椅子に座っていた。
健人の静けさが不安を掻きたてる……。
少しでも明るい雰囲気にしようと、電気のスイッチに手を伸ばした。
「さくら、電気つけない方がいい」
「え?」
「それよりこっち来て……」
……なんで電気つけない方がいいんだろ……。
疑問に思いながらも言われたとおり、健人の傍へ行った。