君じゃなきゃ。


もう……あたしダメダメだよ……。


恥ずかしくて俯いたまま店員に案内されていると後ろを歩いていた先輩が近くに寄って耳打ちしてきた。


「気後れなんてしないで?僕がちゃんとエスコートするから……ね?」

「……先輩……」


その言葉で力が抜けた。


この人に任せていいんだって思うと……楽になっていつも通りのあたしに戻れた気がした。



健人があたしをドキドキさせる天才だとしたら……



竹下先輩はあたしを安心させる天才だと思う……。




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