君じゃなきゃ。
ドキドキを抑えつつも仕事をしていると、いつの間にか時計が定時の18時を指していた。
もう、たまっていた仕事は全て片付いた。
約束の時間にはまだ早いけど、ゆっくり駅の辺りをウィンドーショッピングしながら二人を待つのもいいかもしれない。
毎回遅れてばかりだからたまには早めに行こう。
そう思いデスクの上をきれいに片付けて席を立った。
「先輩、お先に……」
挨拶をして帰ろうとしたとき、電話のベルが鳴った。
「はい、あっ!澤田さん!?お疲れ様です!」
電話に出ている先輩と目が合う。
「ちょっと資料の場所を教えて欲しくて……はい、はい……」
電話がかかってきたことは嬉しいけど、もうちょっと時間を考えて欲しい。
時計を見ると18時15分。
仕方ない、今日も遅れて行くか。