君じゃなきゃ。


「じゃぁ相川さん乾杯しようか」

「へ?」


いつの間にか、気がつくとグラスにはワインが注がれていた。


今は健人じゃなくて!

目の前にいる先輩に集中しなきゃ!


よし。


静かにグラスを持って先輩をまっすぐ見つめる。


窓から見える夜景と照明でキラキラ輝くワイングラスが先輩に良く似合っていて、ちょっと違う世界に来た気分にさせてくれる。



「じゃぁ……プレゼンのお疲れと成功を祝して……」

「乾杯」


チンッ!


口に運んだワインは普段ワインを飲まないあたしでもすんなり飲める、口当たりの良いワインだった。


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